マンション水道設備の「専有部」のトラブルは個人責任って本当?
「共有部」と「専有部」の境界
マンションの給水設備は建物全体ではつながっており、一つのシステムとして稼働していますが、管理の責任範囲は「共有部」と「専有部」に分かれています。
「給水管」は、メーターを境界点として専有部分と共用部分に分かれており、専有部の水道管を「横引き管」と呼びます。
複数の世帯で「赤水や濁り水が出る」などの問題では「共有部」の対応が必要となりますが、「専有部」における「漏水」などのトラブルは原則として当事者同士の問題となり、基本的には工事は「個人」の責任となります。(※入居時の契約によっては、自己負担せず、あるいは最小限の負担で済む可能性もあります)
保険は適用できるか契約内容を確認する
このように漏水による損害は、自分自身(の部屋)が損害を受けるケースと下の階の他人が被害を受けるケースの2種類あり、どちらのケースも「専有部」扱いの事故になります。
復旧工事に保険が適用されれば金銭的な負担は少なくて済みますが、例えば下の階の住人が保険に加入しておらず、かつ自分も「個人賠償責任特約」などの付帯契約をしないいない場合は、漏水対応の工事費は、基本的に原因となった上の階の住人が負担しなくてはならなくなりますので注意が必要です。
給水管の寿命は?
リノベーションを「ウリ」にしている中古の分譲マンションを購入する際は、購入前にマンション「内部の設備の劣化状況」を確認することをおすすめします。
専有部の水道管は水がそのまま給水される「給水管」と、給湯器から浴室・洗面所・キッチンなどにお湯を届ける「給湯管」の2系統が配管されています。給水管の寿命は「築年数」や使われてる「材料」「部品」により変わってきます。
専有部と共有部に限らず給水管の寿命は、国土交通省のガイドラインでは築後25年頃から対策を要するとされていますが、築20年以上のマンションの給湯管(給水管)は、ほとんどが銅管を使用しています。
管の寿命は、「亜鉛メッキ鋼管」(かつて主流だったが、現在では健康への影響が考慮され使用が禁止されている)は、一般的に15〜20年、水道管をビニル樹脂でコーティングした「硬質塩化ビニルライニング鋼管」の耐用年数は20〜25年とされています。
専有部配管の工事費用はどれくらいかかるの?
基本的に工事費用は各世帯で負担
どのような材料や工法が使われているかにより劣化のスピードは異なりますが、いずれにしても配管は老朽化(ほとんどはサビやカビ)により劣化は進み、更新をしなくてはなりません。
問題は共有部と異なり、設備そのものも自分の財産であり、その維持管理は所有者に責任があるということです。しかも配管は一般的に各部屋の床下に設置されているので、一度床を剥がしてから工事をすることになります。
工事内容にもよりますしあくまでも一般的なケースですが、配管に関わる費用は30万円ほどがひとつの目安となります。しかし、壊した壁や床を元通りにして内装をやり直す費用がかかることに注意が必要となってきます。内装材まで含めたリニューアルするのか?部分的な補修にとどめるか?により、トータルの予算感は大きく変わりますが、50万円から100万円ほどの高額な工事になる場合もあります。
マンションならではの工事の問題
また工事には、自分の部屋の断水や上下の階への騒音等の負荷がかかるだけではなく、マンションの設計によっては、(自室のコンクリート)床下と下階の天井裏の間に配管されている場合もあるため、2世帯を巻き込んで工事は複雑になり費用も大きくかさむといったケースもあります。